屋久島町のガイドをとりまく現状と「屋久島公認ガイド」制度の必要性
屋久島町は、島の人々の生活の原則として、屋久島憲章を定めています。その前文には「島の自然と環境を私たちの基本的資産として、この資産の価値を高めながら、うまく活用して生活の総合的な活動の範囲を拡大し、水準を引き上げていくことを原則としたい」とあり、島の人々にとって、環境保全と地域振興の両立をはかるための大きな指標となっています。
屋久島町への入込客数(町民も含めた、飛行機・船による入り込み人数)は、平成19年度に最多の40.6万人を記録しましたが、その後は年々減り続け、平成26年度は28.6万人まで減少してきました。そのような中でも、平成26年度の縄文杉方向への入山者数は7.4万人(環境省屋久島自然保護官事務所の屋久島主要山岳部利用動向調査)、平成25年度の白谷雲水峡への入山者数は9.7万人、同じくヤクスギランドへの入山者数は7.5万人となっており、島外からの入込客の主な関心は自然体験であることがうかがえます。
屋久島町では、そのような島外からの入込客を対象に、自然体験を有料で案内したり解説したりするガイド業が確立されており、島外の入込客と最も多く接点を持つ業種の一つとなっていますが、これまではガイドの資質を図る明確な基準が存在しなかったため、一部の利用者とトラブルが発生するケースも、時折発生していました。
このような状況を受け、屋久島町では、持続可能な観光と地域振興のために、資源の保全と利用が調和する適正な利用ルールを設定し、それを啓発・実践するガイド活動を推進するため、平成25年6月から「屋久島ガイド登録認定制度検討部会」(以下「検討部会」という。)を設置し、平成28年3月現在で、計29回の会議を重ねてきました。
利用者の皆様が、楽しく安心安全なガイドを迷うことなく選択できるよう、新たな認定制度として構築されたのが「屋久島公認ガイド」です。
屋久島憲章.pdf
屋久島ガイド登録認定制度検討部会報告書.pdf
屋久島公認ガイドの仕組み
屋久島公認ガイドの前身として「屋久島ガイド」という制度がありました。
実施主体:屋久島町エコツーリズム推進協議会
- 屋久島ガイド心得、屋久島ルールに同意している
- お客様への賠償責任保険に加入している
- 救急法に関する講習を受講している
- (公財)屋久島環境文化財団が実施するガイドセミナー(ガイドの基本的な知識等に関するセミナー)を受講している
- 屋久島町に2年以上居住している
- 登録ガイド2名が証明する2年以上の実務実績
平成18年から実施していた屋久島ガイドの制度では、以上の要件を備えており、最低限の安全面を確保する制度になっていました。しかし、この制度に登録していた屋久島ガイドは、平成27年3月31日時点で87名となっており、これは(公社)屋久島観光協会に登録しているガイド数約160名(平成26年3月31日時点)を大きく下回っていたことから、屋久島ガイド制度の実効性や効果、必要性が疑問視されていました。そこで、検討部会では、前身の屋久島ガイドを「登録ガイド」に改め、さらに「認定ガイド」「屋久島公認ガイド」の計3段階の認定制度を構築することに決定しました。
実施主体:屋久島町
- 認定ガイドとして認定されている(登録ガイドと認定ガイドの要件を全て備えている)
- 町税に滞納がないこと
認定ガイド
実施主体:屋久島町エコツーリズム推進協議会
- 登録ガイドに登録している(登録ガイドの要件は全て備えている)
- 山、川、海、フィールドごとの専門資格を有している(日本山岳ガイド協会、JSCA、JRCA、スクーバインストラクター等)
- 屋久島町において登録ガイドとして2年以上の実務経験があり200日または200回以上のガイド実務実績がある
- 屋久島学試験に合格している(屋久島の気象、植物、生活、文化、歴史に詳しい)
- 屋久島町内で構成するガイド活動団体(事業者組合等)に加入している
- 定期的に健康診断を受けて、自己管理を行っている
- 屋久島町民である(実際に屋久島町に住んでいるので、暮らしの話が聞ける)
- 地域行事に積極的に参加している(地域の様子が聞ける)
- 屋久島研究講座を毎年度1回以上受講している
登録ガイド
実施主体:屋久島町エコツーリズム推進協議会
- 屋久島ガイド心得、屋久島ルール等に同意している
- お客様への賠償責任保険に加入している
- 救急法に関する講習を受講している
- (公財)屋久島環境文化財団が実施するガイドセミナー(ガイドの基本的な知識等に関するセミナー)を受講している
- 屋久島町エコツーリズム推進協議会認定ガイド2名からの推薦を受けている